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大工さんの人口が、20年間で半分以下になっています。

大工さんの人口の減少

総務省は2022年12月、2020年に行った国勢調査の結果を発表しました。調査によれば、現在の日本の大工の人口は約29万3000人。2000年時点の約64万7000人と比べると、20年間で半分以下に減少しています。

総務省「国勢調査」より

大工人口が減少している背景には、高齢化が進んでいることが挙げられます。2020年時点において、大工人口の約30%を65歳以上の高齢者が占めています。2010年では約12%だったため、過去10年で急速に高齢化が進んだことが伺えます。一方で2020年の30歳以下の大工の割合は全体のわずか7%にとどまっており、後継者不足に悩まされている実情も浮かんできます。
現在65歳以上の大工は、近い将来、加齢にともなって引退していくと想定されるため、今後も更なる大工人口の減少が懸念されます。野村総合研究所の発表では、2030年までに約21万人まで減少する見通しです。
楽待不動産投資新聞より

大工になりたい人が減少する原因は?

キツい、汚い、危険、いわゆる3Kと言われる仕事と思われ、「帰れない」「厳しい」「給料が安い」…なども含めて6K、7K、9Kとも大工さん含む建築関係の仕事は思われがちです。
昔は当たり前だった事が現在ではパワハラなどと言われ、1歩間違えれば法律違反にもなる事も多々ある世の中になっていますが、年配者は、それに対応する事が難しく、3K、4K、5Kとなってくるのです。
それに加えて現在では、もっと楽をして稼げる仕事が沢山、増えている事もあり、若者は良い条件の仕事を選び放題という事も大工になりたい人が減少する原因です。

大工さんの仕事量が減っている

昔と違って、大工さんの仕事量が減っています。

現在
木造軸組の墨付け・手刻み プレカット
窓・ドア枠の加工 既製品
和室の造作 和室を作らない
階段の墨付け・手刻み プレカット階段
外壁造作 パネルやサイディング
お風呂の造作 ユニットバス
1から手造の棚 取付けるだけの棚セット
カンナ・ノミ・釘の使用 削る、彫る等が減少、ビスを多様

いくつか簡単な分かりやすい例を上げましたが、上記に加えて、例えばフローリング貼り専門業者、外壁のサイディング貼り専門業者など、専門業者が増えている事も大工さんの仕事量が減っている原因です。
また、昔は大工さんが手作りで作っていたものも、現在は工場で、ある程度出来上がった製品を使う事も多いので大工さんの仕事量は当然、減ります。

大工技術の継承が無くなりそう

現在の若い大工さんで、木造軸組の墨付け・手刻みを、今、パッと誰にも聞かずに調べずに1人で出来る人は少ないでしょう。
昔の大工さんの棟梁は誰でも出来ました。
しかし、現在は、そんな仕事はありません。(あれば、専門業者が行います。)
 
現在の若い大工さんで、階段の墨付け・手刻みを、今、パッと誰にも聞かずに調べずに1人で出来る人は少ないでしょう。
昔の大工さんの棟梁は誰でも出来ました。
しかし、現在は、専門の工場で行います。
 
このまま、大工技術の継承が無くなりそうで悲しいです。

大工の伝統常識が無くなりそう

昔の大工さんは木の目を見て、何の木なのか、どちら向きに使うのか、何処に使うのか、どんな用途に使うのが良いのか誰でも分かりました。
しかし、現在ではほとんどプレカットで、何の木なのか分かってない人も多く、向きは決まっているので考える事も無く、何処にどんな木を使うのかを考える、知識を得る必要すら無い状態です。
更に、現在の化粧材(見える所に使う木材)は、塩ビ巻きや塗装合板など、本物の木材をそのまま使う部分は99%ありません。
なので、木の目を、どちら向けに使おうが関係ありません。
最近建てられた和風建築の建物を見ると、ほとんど貼り物で出来たものが多く残念です。
鎧張りの塀も木の目が逆になっていたり、無茶苦茶なものも見かけます。
軒天がフローリングを横貼りに貼ってあったり、昔では考えられない事がされている和風建築もあります。

大工の伝統常識を残すには

昔は大工の棟梁が一番偉かったのですが、現在は元請けの会社が一番偉いという上下関係になっています。
という事で、大工さんは口出しする事が許されず、元請けの監督さんの言う事を聞かないと仕事をさせてもらえないというのが現状です。
その監督さんも、現場に行くのは若手の監督さんで、若手の書いた図面やデザインを指示します。
若手の設計・デザイナーが、大工の伝統常識を知っている訳がありませんが、大工さんは言う事を聞かないと仕事をさせてもらえないので、分かっていても「はい。はい。」と言う事を聞いて指示通りに工事を進めて、大工の伝統常識外れな和風建築の建物が次々と生まれ、それを見た若手の設計・デザイナーが大工の伝統常識を無くしていくと言う流れになっています。
金儲け優先ではなく、大工の伝統常識も後世に継承していってほしいと思っています。

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