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錆びた釘を踏んだらハンマーで叩いておくと治るという迷信

錆びた釘を踏んだ時の話し


 
昭和の頃の話しです。
解体工事の現場の中で、床に散乱した瓦礫の中を歩いていると「あっ痛っ!」と、釘を踏んでしまう事はしょっちゅうあります。
年に一度や二度ではありません。
そんな時に年配の人に言われるのは
「金槌で叩いておけ!」

と、言われます。

「金槌で叩いておけ!」の理由は

金槌で叩いて、血を出して錆も出しておけば膿まなくて早く治る。
ということらしい。
私も若い頃は信じて、釘を踏む度に金槌で叩いていました。
大工さんの中では常識中の常識で、みんな金槌で叩いていました。
そして、そのまま何事も無かったかのように仕事を進めます。
「痛い」と言ったら負け。男らしく無く格好が悪い。という世界だったのです。
 
現在、その事を思い出すしてみると、おそらく、それは、キズを叩くことにより出血させ、それで中に入ったサビや細菌を外に出すためだと考えられます。
昔の人の知恵ですね!
釘を刺したキズは小さく、また表面の皮膚がふさがりやすいため中にサビや細菌が残りやすいので必ず化膿します。
本当は、ハンマーで叩き出血させる程度ではキズの中に入った細菌は外に出ませんし、皮膚の下の柔らかい脂肪などが壊れて細菌の餌になったり、細菌をさらに押し込むことになりかねません。
釘を踏んだ場合に一番恐いのは、土や古い木の中に棲んでいる破傷風菌がキズに入ることです。
破傷風菌に感染すると、約80%の患者さんに全身的な症状(けいれん、呼吸困難、脳炎など)がみられ、非常に危険な状態になるそうです。
そんな事にならない為に昔の人は「金槌で叩いておけ!」と言われた訳です。

現在の、錆びた釘を踏んでしまった時の対処法は

現在は、錆びた釘を踏むと病院で釘を踏んた穴にメスで切れ目を入れキズを大きくして細菌が外に出やすくして、化膿止めの薬を服用し、テープや包帯で傷口をガードして適切な処置を行います。
当然、歩行が困難な時は仕事を休みます。
#大工の伝統常識

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