今回は、滋賀県草津市のテナントを改装し、完全予約制・完全個室型のマンツーマン美容室を新装した施工事例をご紹介します。
お客様のT様から、「お客様一人ひとりと落ち着いて向き合える、完全個室の美容室を開業したい」と、ホームページを通じてご相談をいただきました。
一般的な美容室では、複数のセット面やシャンプー台を一つの空間に配置することが多くあります。
一方、完全個室型の美容室では、お客様の視線や会話の聞こえ方、スタッフの移動、給排水設備、換気、照明、収納などを、通常の美容室以上に細かく計画する必要があります。
今回は、限られたテナント面積の中に、個室型の施術スペース、シャンプー設備、受付、待合、バックヤードを配置し、プライバシーと作業効率を両立した美容室へ仕上げました。
草津市で美容室開業のご相談
T様は、これまで複数のスタッフが働く美容室で勤務されていました。
独立開業にあたり、大型店舗ではなく、一人のお客様を最初から最後まで担当するマンツーマンサロンを計画されていました。
お客様同士が顔を合わせにくく、周囲を気にせず髪や頭皮の悩みを相談できる環境をご希望でした。
候補となった物件は、草津市内の道路沿いにある小規模テナントです。
以前は物販店として使用されていたため、美容室に必要な給排水、給湯、電気、換気設備は整っていませんでした。
現地調査では、主に次のような課題を確認しました。
- シャンプー台を設置する給排水設備がない
- 給湯器の能力と設置場所を新たに検討する必要がある
- 美容機器を使用するためのコンセントが不足している
- 完全個室にすると空調と換気が届きにくい
- 受付と施術空間を分ける間取りが必要
- タオル、薬剤、備品の収納場所がない
- 店内の奥まで自然光が届きにくい
- 排水経路を確保するため床の工事が必要
単に壁を設けて個室をつくるだけでは、室内に熱や湿気、薬剤のにおいがこもる可能性があります。
そこで、個室としての落ち着きを保ちながら、空調、換気、給排水、スタッフ動線を成立させる計画を進めました。
お客様のご要望
打ち合わせでは、予定しているメニュー、施術時間、一日の予約数、使用する薬剤、美容機器、タオルの保管量などを詳しくお伺いしました。
T様からいただいた主なご要望は、次のとおりです。
- 完全予約制のマンツーマンサロンにしたい
- お客様同士ができる限り顔を合わせないようにしたい
- 施術中の会話が他の部屋へ聞こえにくいようにしたい
- セット面とシャンプー台を一つの個室内に設けたい
- 移動回数を減らし、施術へ集中できるようにしたい
- 薬剤やタオルを取り出しやすく収納したい
- 落ち着いた高級感のある内装にしたい
- 掃除と片付けを一人でも行いやすくしたい
豪華な装飾を増やすのではなく、素材、照明、家具の配置によって、静かで上質な空間をつくることを目指しました。
物件契約前に美容室として使用できるか確認
美容室を開業する場合は、物件の広さや家賃だけでなく、設備条件や建物側の制約を確認する必要があります。
特に、シャンプー台を設置するための給排水や給湯設備が重要です。
今回の物件では、既存の水まわりから施術スペースまで配管を延長できるか、床下の高さと排水勾配を確認しました。
排水は水が自然に流れる勾配を確保する必要があるため、好きな位置へ自由にシャンプー台を置けるわけではありません。
また、電気容量、室外機の設置場所、換気ダクトの経路、看板の設置条件も確認しました。
テナントの所有者と管理会社へ工事内容を説明し、改装可能な範囲を確認したうえで計画を進めています。
完全個室でも圧迫感を出さない間取り
完全個室型の美容室では、壁を増やすことで圧迫感が出やすくなります。
限られた床面積を細かく区切りすぎると、施術スペースや通路が狭くなり、スタッフとお客様の移動が難しくなります。
今回は、受付から個室までの通路をできる限り短くし、施術スペースを広く確保しました。
個室の間仕切りは天井まで設けていますが、扉の一部に半透明ガラスを採用し、廊下側の明るさが伝わるようにしています。
外から室内の様子がはっきり見えないため、プライバシーは保たれます。
壁と天井は明るい色を基本とし、床や造作家具に濃い木目を使うことで、狭さを感じにくいバランスとしました。
セット面とシャンプー台を個室内に配置
一般的な美容室では、カットやカラーを行うセット面から、シャンプースペースへお客様が移動します。
今回の美容室では、個室内にセット面とシャンプー台を設けました。
お客様は施術中に共用通路を何度も移動する必要がありません。
カラー剤を塗布した状態や、タオルを巻いた状態で他のお客様と顔を合わせにくくなります。
スタッフ側も、施術道具や薬剤を持って店内を往復する回数を減らせます。
セット椅子を回転させてもシャンプー台や収納にぶつからないよう、家具と設備の間隔を調整しました。
ドライヤー、ワゴン、スタッフの立ち位置も想定し、施術中に動きにくさが出ない広さを確保しています。
シャンプー台の給排水と給湯設備を新設
既存テナントには美容室用のシャンプー設備がなかったため、給水、給湯、排水配管を新設しました。
床下に必要な配管を通し、排水が滞らないよう勾配を確保しています。
シャンプー台の位置を決める際は、デザインだけでなく、既存配管との距離やメンテナンス性も考慮しました。
給湯設備は、一日の予約数と使用する湯量を想定し、必要な能力を選定しました。
お湯の温度が不安定にならないよう、配管距離や同時使用の可能性も確認しています。
シャンプー台の下部は、万が一の漏水時にも点検できるよう、配管を確認しやすい構造としました。
お客様の会話に配慮した防音対策
完全個室型美容室では、隣室の声が聞こえると、個室であることの安心感が薄れてしまいます。
特に、髪や頭皮に関する悩み、年齢、生活習慣など、周囲には聞かれたくない内容を相談される場合があります。
今回は、個室間の壁内部へ吸音性を考慮した材料を入れ、一般的な簡易間仕切りより音が伝わりにくい仕様としました。
扉の隙間から音が漏れやすいため、扉の形状と納まりにも配慮しています。
完全な防音室ではありませんが、通常の会話が隣室へ明瞭に伝わりにくい環境を目指しました。
また、店内に小さな音量で音楽を流すことで、会話だけが目立たないようにしています。
個室ごとに空調と換気を計画
個室を天井まで壁で区切ると、空調の風が届かず、部屋ごとに暑さや寒さが異なる場合があります。
さらに、カラー剤やパーマ剤のにおい、ドライヤーの熱、シャンプー時の湿気がこもりやすくなります。
今回は、個室ごとに空気が循環するよう、空調の吹き出しと吸い込みの位置を調整しました。
換気についても、店内全体で空気が滞留しないよう、給気と排気の経路を計画しています。
シャンプー台周辺の湿気が残りにくく、施術中のにおいが他の個室へ広がりにくいようにしました。
お客様の顔や頭部へ空調の風が直接当たり続けないよう、吹き出し方向も調整しています。
受付と待合をコンパクトに配置
完全予約制のため、多人数が長時間待つ待合スペースは必要ありませんでした。
受付には、会計、予約確認、電話対応に必要な機能をまとめたコンパクトなカウンターを設置しました。
待合には椅子を少数配置し、早く到着されたお客様や付き添いの方が利用できるようにしています。
受付カウンターの背面には、書類、予約管理用品、レジ周辺機器を収納しました。
お客様側から配線や事務用品が見えにくく、受付まわりを常に整えやすい計画です。
お客様同士が顔を合わせにくい予約動線
完全個室をつくっても、受付や会計時に他のお客様と重なると、プライベート感が弱くなります。
今回は内装だけでなく、予約の取り方も含めて動線を検討しました。
一人のお客様の施術終了から次のお客様の来店までに、片付けや換気を行える時間を確保します。
会計は個室内でも行えるよう、持ち運び可能な決済端末の使用を想定しました。
必要に応じて個室内で次回予約まで完了できるため、受付に滞在する時間を短くできます。
空間設計と運営方法を組み合わせることで、お客様同士が顔を合わせる可能性を減らしています。
照明は施術の正確さと居心地を両立
美容室の照明は、雰囲気だけでなく、髪色や肌の見え方に大きく影響します。
暗すぎる照明では、カラーの仕上がりや髪の状態を正確に確認できません。
一方で、明るさだけを優先すると、個室が落ち着かない印象になることがあります。
今回は、個室全体を照らす照明と、セット面の手元を照らす照明を分けました。
鏡の周囲には、顔へ強い影ができにくい位置に照明を配置しています。
髪色を自然に確認しやすい光を使用し、施術時の作業性を確保しました。
シャンプースペースは少し照度を抑え、横になったお客様が眩しく感じにくいようにしています。
鏡まわりの映り込みを調整
個室内の鏡は、施術中にお客様が長時間見る場所です。
鏡の正面に照明器具や収納が強く映り込むと、落ち着かない印象になります。
今回は鏡の高さ、幅、照明位置を調整し、施術者の手元とお客様の髪が見やすいようにしました。
鏡の周囲には装飾を増やしすぎず、髪型やカラーの仕上がりへ自然に視線が向くデザインとしています。
コンセントやドライヤーホルダーも、鏡の正面から目立ちにくい位置に設置しました。
個室内に必要な収納を配置
施術中に必要な道具を取りに何度も個室を出ると、作業効率が低下します。
そこで、個室ごとに、頻繁に使用する道具や備品を収納できるスペースを設けました。
収納する主な物は次のとおりです。
- ドライヤー
- ブラシやコーム
- クロスやタオル
- 施術用の小物
- 衛生用品
- お客様の手荷物
薬剤は個室内へ必要以上に置かず、バックヤードの専用収納で管理します。
使用頻度の高い物と、まとめて管理する物を分けることで、個室内をすっきりと保てるようにしました。
カラー剤と薬剤を管理するバックヤード
美容室では、カラー剤、パーマ剤、シャンプー、トリートメントなど、多くの商品を保管します。
バックヤードには、薬剤の種類や在庫を確認しやすい棚を設けました。
開封済みの商品、未開封の商品、清掃用品が混ざらないよう、収納場所を分けています。
カラー剤を調合する作業台には、水に強く、汚れを拭き取りやすい仕上げ材を使用しました。
作業台の近くにはシンクと必要なコンセントを配置し、調合から片付けまでを一か所で行えます。
お客様からバックヤード内部が見えにくい位置に扉を設け、営業中の備品や在庫が店内へ出ないようにしました。
タオルの洗濯・乾燥・収納動線
美容室では毎日多くのタオルを使用します。
使用済みタオル、洗濯後のタオル、未使用タオルの動線が重なると、衛生管理がしにくくなります。
今回は、使用済みタオルを回収する場所、洗濯機、乾燥機、収納棚をバックヤード内にまとめました。
洗濯後のタオルをその場で畳み、清潔な収納へ移せるため、店内を持ち歩く距離を短くしています。
洗濯機と乾燥機を使用するための給排水、換気、専用電源も新設しました。
機器の熱や湿気がバックヤードにこもらないよう、換気設備も設けています。
美容機器に合わせてコンセントを増設
セット面では、ドライヤー、ヘアアイロン、バリカン、充電機器など、複数の電気機器を使用します。
延長コードを床へ這わせると、スタッフが足を引っ掛けたり、ワゴンの移動を妨げたりする可能性があります。
今回は、美容機器の使用位置に合わせて、個室ごとにコンセントを配置しました。
同時に複数のドライヤーを使用しても負担が集中しにくいよう、電気回路を分けています。
バックヤードの洗濯機、乾燥機、給湯設備、空調にも専用回路を設けました。
将来的に美容機器を追加できるよう、予備の電源も確保しています。
床材は薬剤への耐久性と清掃性を重視
美容室の床には、髪の毛、水、カラー剤、薬剤などが落ちることがあります。
一般的な住宅用床材では、薬剤によって変色したり、隙間へ髪の毛が入り込んだりする可能性があります。
今回は、耐水性と清掃性があり、店舗で使用しやすい床材を採用しました。
髪の毛が見えにくすぎる濃色は避け、清掃時に確認しやすい色を選んでいます。
シャンプー台の周辺は、水が落ちても滑りにくい材料を使用しました。
壁際や収納の下部も、ほうきや掃除機を当てやすい納まりとしています。
落ち着いた木目とグレーを基調にした内装
内装は、明るいグレー、白、木目を基調にまとめました。
個室の壁は落ち着いた色とし、お客様が長時間過ごしても疲れにくい雰囲気を目指しました。
受付と造作家具には木目を取り入れ、無機質になりすぎないようにしています。
金物や照明器具の一部に黒を使用し、全体の印象を引き締めました。
装飾を増やすのではなく、素材と色数を絞ることで、落ち着きと清潔感を両立しています。
外から店内が見えすぎないファサード
完全個室型美容室では、外から施術中のお客様が見えないことも重要です。
既存の正面ガラスをすべて壁でふさぐと、店内が暗くなり、閉鎖的な印象になります。
そこで、入口付近は店内の雰囲気が分かる程度に開放し、施術スペースは外から見えない位置に配置しました。
ガラス面の一部には視線を遮るシートを施工し、自然光を取り入れながらプライバシーを確保しています。
店舗サインは道路側から認識しやすい位置に設置し、予約されたお客様が迷わず来店できるようにしました。
入口から個室までの案内を分かりやすく
初めて来店するお客様が、入口でどこへ進めばよいか迷わないよう、受付を正面から認識できる位置に配置しました。
受付から各個室までの通路は、扉や家具で狭くならないようにしています。
個室の扉には大きな番号や派手な表示を付けず、店内デザインに合う小さなサインを設置しました。
床材や照明の変化によって、受付、通路、施術スペースの違いが自然に分かるようにしています。
清掃しやすい店舗づくり
一人で運営する美容室では、施術だけでなく、受付、会計、清掃、洗濯、在庫管理もオーナーが行います。
清掃に時間がかかる内装では、営業時間外の作業負担が大きくなります。
今回は、床に物を置かなくても済む収納を増やし、掃除機やモップをかけやすくしました。
造作家具は床から浮かせる部分と、床まで完全にふさぐ部分を使い分け、髪の毛が入り込む隙間を減らしています。
棚や装飾も必要以上に増やさず、ほこりがたまりにくい構成としました。
個室ごとに短時間で清掃できるため、次のお客様を迎える準備を行いやすくなっています。
工事開始から完成まで
工事は、既存の床、壁、天井、不要な設備の撤去から開始しました。
解体後に建物の下地と配管経路を確認し、給排水、給湯、電気、空調、換気設備の工事を進めています。
その後、個室の間仕切り壁、防音下地、天井、造作家具の下地を施工しました。
シャンプー台、給湯器、洗濯機、乾燥機などの設備を設置し、排水と給湯の動作を確認しています。
内装仕上げ後に、鏡、セット椅子、照明、収納、受付カウンターを設置しました。
最後に、各個室の空調、換気、照明、電気機器、給排水を確認し、実際の施術動線を想定して調整しました。
工期は約1か月半です。
保健所への手続きや設備確認の日程も考慮し、開業予定日に間に合うよう工程を管理しました。
完成後のお客様のご感想
完成後、T様からは次のようなご感想をいただきました。
「セット面とシャンプー台が同じ個室にあるため、お客様を何度も移動させずに施術できるようになりました。周囲を気にせず会話できるので、初めてのお客様からも相談しやすいと言っていただいています。収納や洗濯動線も考えられており、一人で営業していても片付けや準備を進めやすいです。」
お客様からは、他の方と顔を合わせにくいことや、個室内で最後まで施術を受けられることが好評とのことです。
完成写真
工事概要
- 所在地:滋賀県草津市
- お客様:T様
- 工事種別:完全個室美容室の新装工事
- 工期:約1か月半
- 施工内容:既存内装撤去、個室間仕切り、防音下地、シャンプー台設置、給排水・給湯工事、電気工事、空調・換気工事、床・壁・天井仕上げ、受付カウンター、セット面、鏡、収納、バックヤード、洗濯設備、照明、店舗サイン
- 店舗形態:完全予約制・マンツーマン型美容室
- 施工担当:株式会社空間デザインエイト
完全個室美容室をつくる際に確認したいポイント
完全個室美容室では、通常の美容室よりも、空調、換気、音、給排水の計画が重要です。
間仕切り壁をつくるだけでは、個室内が暑くなったり、薬剤のにおいがこもったりする可能性があります。
計画初期には、次の項目を確認しましょう。
- シャンプー台まで給排水管を設置できるか
- 排水に必要な床下高さと勾配を確保できるか
- 個室ごとに空調と換気が届くか
- 隣室へ会話やドライヤー音が伝わりすぎないか
- 美容機器に必要な電気容量があるか
- 給湯器の能力が営業内容に合っているか
- タオルの洗濯・乾燥・収納場所を確保できるか
- 保健所や管理会社への確認が必要か
物件契約後に必要な設備を設置できないことが分かると、間取りや予算を大きく変更しなければならない場合があります。
可能であれば、物件契約前に施工会社へ現地調査を依頼することをおすすめします。
マンツーマンサロンではスタッフ動線が重要
一人または少人数で営業する美容室では、施術中の移動や片付けの負担が、そのまま営業時間や予約数に影響します。
使用頻度の高い道具やタオルを近くに配置し、施術、シャンプー、会計、清掃の移動を短くすることが重要です。
一つの個室にすべてを詰め込むのではなく、個室内に必要な物と、バックヤードでまとめて管理する物を分けることで、店内を整えやすくなります。
草津市で美容室の新装・改装をご検討中の方へ
株式会社空間デザインエイトでは、草津市を中心に、滋賀県内の美容室、理容室、ネイルサロン、エステサロンなどの店舗新装・リフォーム工事を行っています。
物件の現地調査から、セット面、シャンプー台、給排水、給湯、電気、空調、換気、防音、照明、収納、バックヤードまで、営業形態とご予算に合わせてご提案します。
「完全個室の美容室を開業したい」「一人で営業しやすい動線にしたい」「物件契約前にシャンプー台を設置できるか確認したい」といったご相談も承っております。
草津市で美容室やマンツーマンサロンの新装・改装をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
